2007松林防除実践講座ご報告

  (財)日本緑化センターは、松林保護技術者の育成を図るため11月29・30日の両日、宮城県において実践講座を開催しました。2日間の講座には、地元宮城県を含め、全国から松保護士、市町村防除事業担当者、森林組合職員など70名の方々が参加され熱心に研修されました。

1日目は、13:00~17:00まで松島町のホテル松洲を会場として、宮城県森林整備課河野課長の来賓挨拶に続き、松島町産業観光課千葉主査の「松島における松枯れ対策への取り組みについて」、宮城県林業試験場水戸辺上席主任研究員の「宮城県における松枯れの現状と対策について」、森林総合研究所林木育種センター藤澤育種第一課長の「マツノザイセンチュウ抵抗性品種の開発の現状と課題」について報告をいただき、さらに、千葉大学本山教授の特別講演「松林に散布された農薬の周辺環境への飛散実態と健康影響の可能性」を拝聴しました。本山教授の講演では、予防散布によるマツノマダラカミキリ駆除は、後食による経口毒性よりも薬剤に接触する経皮毒性の効果が高いという新たな知見が報告されました。

 2日目は、東松島市の県有砂防林潮騒の森に会場を移し、9:00~15:00まで、宮城県森林組合連合会の伊藤部長などをインストラクターとして、

1)当年松枯れ被害木の調査要領(宮城県森林整備課千葉主任主査)
2) 被害木の伐倒、マツノザイセンチュウ検出の材片採取(宮城県林業試験場)、マツノマダラカミキリ産卵痕・幼虫の確認
3) 「潜在感染木」の有無確認のため枯死木を中心に15×15m・4区画内における松脂滲出調査、木部と内樹皮の褐変による枯死木判定(宮城県林業試験場中澤主任研究員)
4) 生分解シートを使った伐倒くん蒸処理のデモンストレーションと実習
5) 樹幹注入(ファイザー株式会社、井筒屋化学産業株式会社)、土壌灌注(石原バイオサイエンス株式会社)のデモンストレーションと実習
6) 松島町中央公民館へ移動し、材片からマツノザイセンチュウを滲出させるベールマン法の解説、顕微鏡による検出したマツノザイセンチュウ確認、ニセマツノザイセンチュウとの判別(宮城県林業試験場)
7) 講座修了証を交付して全日程を終了しました

風もなく快晴に恵まれ、県森林整備課、県林業試験場、県森連および資材メーカー3社の全面的なご支援を頂き、密度の高い実習となり、参加者の皆様には十分な研修の機会となったことと思います。多くの皆様のご参加を賜り、かつ地元関係者のご協力に心からお礼申し上げます。

 なお、講座開催には次の関係機関のご後援を頂きましたことをご報告します。
林野庁、宮城県、東松島市、松島町、松保護士会、全国森林組合連合会
宮城県森林組合連合会、(社)ゴルファーの緑化促進協力会

未来のために今できる日本の松原保護活動